身代わり王女の禁断の恋
「離しなさい!
無礼ではありませんか。」

この数ヶ月、クラウスによって叩き込まれた王女としての振る舞い。

意識することなく、口を衝いて出る。

その時、クラウスが立ち上がった。

「その女は、王女殿下を騙る女詐欺師だ。
すぐに捕らえよ。」

クラウスの言葉に、私は耳を疑った。

「私は、誰も騙してません!
ただアルフと… 」

「黙りなさい。
では、どうやってここに入ったのです?
王弟殿下の裁判に、一般人の傍聴は許可して
いないはずです。」

「それは… 」

反論できない私は、役人に引きずられるようにして部屋を出る。

「クリス!!」

部屋の中から、アルフの声が聞こえた気がした。
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