身代わり王女の禁断の恋
いた…

彼らしからぬ心配そうな瞳で、こっちを見てる。

それでも、私と目が合った瞬間に私の枕元にやってきた。

そう…

いつも、クラウスは私が何も言わなくても、私が言いたいことを分かってくれる。

「王女殿下、何か…?」

「……… そばに… 」

私がそれだけ言うと、クラウスは心得たように優しく微笑んで言う。

「ずっとおそばに控えております。
ゆっくりとお休みくださいませ。」

「クラウス… 手を… 」

私がそう言うと、クラウスはそっと私の右手を握ってくれる。

ああ… そう… この温もり…

私は、再び、目を閉じた。
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