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第1章
☆
「真美(まみ)!帰ろう」
「ごめん!今日、ちょっと用事があって……一緒に帰れないの」
「用事?何それ?」
「えっと…、先輩に呼ばれて…」
「は?先輩?部活してないのに知り合いの先輩いるの?」
「う、うん。…近所に住む人で…昔からの知り合いでね…あ、ごめん。行かないと…」
「ちょっと真美!」
セナ、ごめん!
私、今日、凛太くんに一緒に帰ろうって言われたの。
…あの人気者の凛太くん。
昔はよく遊んでもらってたけど、中学生になってから会わなくなっちゃって。
本当はずっとずっと好きで、この高校入った理由も凛太くんがいたから。
こんなこと、セナに言ったら気持ち悪いって言われるかな。
そんなこと思いながら、階段を降りて降りて走る。
大好きな人と今日は帰れるんだ。
嬉しくてたまらない。
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