※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
パチパチと細い線のような火花を瞬かせ、ふたつの線香花火が咲き誇っている。
俺たちは膝を寄せ合ってしゃがみ、線香花火を見つめていた。
「たまにはいいね、こういう線香花火も」
「うん。ひとりで見る打上花火より、はのんちゃんと見る線香花火の方がいいな」
線香花火は、こんなに小さいのにどうしてこれほどまでに力強く咲き誇れるのだろう。
ぱっと派手に咲いて、音もなくその命を終える。
儚いけれど、その命の存在感は鮮烈だ。
先に落ちたのは、俺の線香花火だった。
やがてはのんちゃんの線香花火も落ちて、俺たちは次の花火に移ることにした。
「次はどれにしよっかな~。こんなにたくさんの花火をふたり占めできるなんて贅沢すぎるんだけど」
しゃがみ込んで、たくさんの花火を前にきゃっきゃとテンションをあげているはのんちゃん。
そんな姿を、線香花火が落ちた場所にしゃがみ込んだきり動けずに見つめる。
……本当は。
君に触れたい。キスしたい。俺のものにしたい。独り占めしたい。
そんな、一方的な欲ばかり。
だけどそのどれも、俺には望んではいけないことだから。