※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
君の涙と、私の涙
腹ごしらえをし終えた私たちは、逃避行を再開するため再び電車に乗り込んだ。
もうすぐ夕方を迎えようとしていた頃。
「次は、○○駅です」
アナウンスで、聞いたことのある駅の名前が流れてきた。
その名にピンときて、終点ではないけれど予定を少し変更することにした。
「一回、この終点で降りよっか」
「どこか行きたいところでもあるの?」
「ちょっとね」
ほんの少しのお楽しみだ。
私は思わせぶりにそう言って、ふふと笑って見せた。