※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
それからユキは、私に向かって申し訳なさそうに眉尻を下げて苦笑した。
さっきまでの重い空気などすべて冗談でだというように。
「なんかごめん。ちょっと感傷的になっちゃったな」
ユキはいつだって私のことをなにより優先する。
自分が一番苦しいはずなのに、私の心配を取り払おうとするのだ。
私はそんなユキを見るとどうしてだかいつも息苦しくなる。
だから私は、黙ってひまわり畑を見つめたまま、隣にいるユキの手をきゅっと握りしめた。
ユキが驚いたのが、繋いだ手越しに伝わってきた。
ユキの手は温かい。
まるで人間のそれのように。
凍えるような北風は、私たちを包む空気に割って入ってこようとはしない。
「あんたはひとりなんかじゃないんだからね」
なにを伝えるべきかわからなくて、咄嗟に口からこぼれた言葉に思いをすべてのせる。
なんでもっと優しい言い方ができないのだろうと悔やんでいると、不意にきゅっと手を握り返された。
その仕草からはまるで、いつも私を導いてくれるユキが、初めて私を求め縋っているように感じられた。
今までのどんな時よりもユキを近く感じるのは、なんでなのだろうか。
すると、隣でユキがじんわりと噛みしめるように呟いた。
「俺はきっともう、君がいない世界なんて息もできないよ」