※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
*
それから私たちは、また電車に乗り終点まで揺られる。
次の終点は、海が見える駅だった。
「海なんて久々に来た~」
壮大な海を前に、私は大きく伸びをした。
凪いだ潮風が鼻孔を優しくくすぐる。
はるくんに贈るために撮った海の写真は修学旅行先で撮ったし、舞香たちと遊びに行くのももっと賑わっている場所だから、ここに来たのは小学生の頃に父さん母さんと潮干狩りで来た時以来だ。
ここはほとんど人が来ない穴場で、なおかつ真冬という時期のため、私たちの他に人の姿はなかった。
「すごい広いんだね、海って」
ユキが隣で感嘆の声を漏らす。
「来たことないの?」
「うん、写真で見たことしかなかった」
少し恥ずかしそうにユキが苦笑する。
それならなおさら海に来てよかったと思う。
はるくんに写真を送っていた時のように、ユキに見たことのない景色を見せてあげられたことが、自分の中でもほんの小さな幸福に変換される。