※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
海を前にして心が開放的になっているのだろうか。
ぽろぽろと本音が口をついてこぼれていく。
「あんただって、私のこと惨めで滑稽に見えるでしょ? まわりの目ばっかり気にして、ご機嫌取りばっかりして」
三角に折った膝の向こうで組んだ指先を絡ませあったり離したりする。
弱い心をさらけ出すというのは、すごく勇気の要ることだ。
必死にかっこつけていたのがばれてしまうみたいで、かっこ悪い、ださい。
だけど、胸の奥に固く仕舞っていた本音がひとつこぼれたら、すべて発散しきってしまいたいという気持ちが大きく膨らんでいく。
かわりに、こんな本音を打ち明けたら嫌われるのではないかという躊躇いが、その姿を潜める。