※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
重い愛と、想い合い
翌日。昼休みを迎えると、お昼を素早く切り上げた私は、図書室にいた。
何冊もの分厚い本を机の上に運んできて、読み始める。
本のタイトルはもっぱら、エンプロイド説明書。
髪色と見た目が派手な女子が難しい専門書を読みあさっているのが珍しいのか、あるいはエンプロイドの説明書を読んでいることが珍しいのか、至るところからあけすけな視線を受けながらも私は気にしない。
こういう行動を起こすに至ったのは、ユキのことをもっと知りたいと思ったからだ。
ユキに出会うまで、エンプロイドと接触する機会がなかったから、私は極端に彼等に関する知識が乏しい。
普段活字とはまったくと言っていいほど無縁な私は、人より時間をかけながら、まるで呪文の書のような説明書を読み進めていく。
『原則として、人間名はエンプロイドの製造者がつけることになっている。』
『エンプロイドは、国から支給されたエンプロイド専用のマンションで生活することになっている。』
『年に一度、製造された日にメンテナンスが行われ、人間と同じように歳を重ねた仕様に調整される。
※歳を重ねることで、老いによる体力や各機能の衰えは生じない。』
『体内の故障はない。表面に傷等がついても粉々にならない限りは修復可能。』
『製造より99年で電池が切れる。これは人間で言う死である。』
一ページ目には、こんなことが書かれていた。