※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
エンプロイドに体内の故障という概念がないことは、私もニュースで見て知っていた。
だから数十年後には、この世界はエンプロイドで溢れるようになると、コメンテーターのおじさんが怖い顔で言っていた。
読めば読むほど、なんだかエンプロイドという存在が遠くなっていく。
うまく言えないけれど、ユキと接している限り、エンプロイドは特殊な生物みたいに難しい言葉で説明されるような存在じゃない。
だって、どこにでもいるような男子高校生みたいに些細なことで笑うのだ。
詰め込まれていく言葉の分だけ頭が重くなってきて、机に突っ伏した時、何気なくページの一番下の行が目に入った。
『エンプロイドは、食事を――』