※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
『はじめまして』
試しに一言打ってみると、返信はすぐにきた。
主治医と柾くんと祖母という限られた繋がりしか知らなかった俺は、スマホを介して知らないだれかと繋がっているような慣れない感覚に、心が浮き足立つのを感じた。
『初めまして、ひまわりです。ユーザーネーム登録されてないけど、お名前は?』
指摘されて初めて気づく。
機械に不慣れなこともあって、初期設定を飛ばしてしまっていたらしい。
咄嗟に名前が浮かばなくて、ユーザーネームは自分の好きな季節にした。
『はるです』
『はるくんね。よろしく!』
『よろしく。ひまわりさんは、趣味がカメラなんだね』
『そうだよ! まあ、最近は全然やってないんだけどね』
外の世界に興味があった俺は、ほんの少しわがままを言ってみた。
『君が撮る写真、見てみたいな』