※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


俺の知る世界が、ひまわりさんが与えてくれるもので構成されていく。


ひまわりさんの写真を見ている時間は不思議と体の痛みが消えて、世界が広がる魔法にかかっているかのような感覚になれた。


そうして週一で送られてくる写真を俺は嬉しい嬉しいと受け取っているだけだったけど、ある日、写真を撮りに移動するためには時間はもちろん交通費というものがかかることを知った。

けれどそんなこと一言も、ひまわりさんは俺に言わない。


はるくんが喜んでくれて嬉しいとそう言って、当たり前のように手間暇かけることを厭わないひまわりさん。

そんな優しいひまわりさんのことを好きになるのに、もちろん時間はかからなかった。


そして毎日のようにチャットを介して会話を交わし、距離が縮まっていく中で、ひまわりさんは自分のことが嫌いだと、そう漏らすようになった。


『本当の自分が時々わからなくなる』と、そんなメッセージを見るたび、できることなら今すぐ飛んでいって悩みを晴らしてあげたい気持ちに掻き立てられるのに、その思いに反比例するように残された時間は短くなっていく。


画面の向こうで好きな子が助けてと訴えかけているのになにもできないまま、いつしか体調によってはスマホを持つのもやっとになっていた。





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