※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
このグループの中だけではない。
この教室の中で、舞香の言うことは絶対の正論なのだ。
反論する余地なんて、あるはずがない。
「うん。エンプロイドなんてあり得ないよ」
喉の奥から鉛を吐き出すみたいに舞香に同意した、その時。
「――花宮はのんちゃん、だよね?」
後ろから声が聞こえてきて、私は初めてそこで、みんなの視線が私の背後に向けられていることに気づく。
反射的にばっと勢いよく振り返れば、そこにはユキが立っていた。
ユキは、私を見つめて嬉しそうに微笑む。
「今朝は助けてくれてありがとう」
そして、想像もしなかった言葉を、彼は笑顔のまま紡いだ。
「好きです。俺と付き合ってくれませんか」