※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


パワーアップしたように思えた私。

……けれどその自信はあっさり砕かれる。


「その髪色、派手じゃない? はのんぽくない」


教室で顔を合わせた直後、舞香に一言そう言われたのだ。


その瞬間、自分の顔がみっともないくらい引きつったのが分かった。


舞香の反応ひとつで、すべての評価は決まる。

舞香に否定の言葉を浴びせられた途端、さっきまであんなにかっこよく思えていた自分の髪色がいきなり、やる気が空回りした恥ずかしいものに変わる。


「で、でも、すぐ色落ちするから」


そう言い繕うけれど、舞香の興味の行き先はもう、すっかり手の中のスマホだ。


……わざわざ都内の評判のいい美容院を選んで、行列にも並んで、値段だってすごく高かったのに。


美容院を使ってしまったから、染め直そうにも、もう自由に使えるお金はほぼ残っていない。

しばらくはこの色で我慢するしか他ないかと思うと、視界の端に映る染めたばかりの髪に心底嫌気が差した。





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