※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
「分かってよ! 迷惑なの……!」
行き場のない感情が、言葉という悪意の礫となって、ユキをめちゃくちゃに傷つけようとする。
「なんでよりによってエンプロイドなのっ……!」
何度も何度も心の中に浮かんでは消化してきた思いが、ついに悲痛な叫びとなって溢れた。
机の上で握りしめたこぶし。
ネイルでばっちり着飾った爪が、手のひらに食い込んで痛い。
ずっと好きだったのに。
蓋を開けてみれば実はエンプロイドでしたなんて、こんなの裏切りだ。
「……ごめん」
ぽつりと返ってきた声に、私は思わず顔をあげた。
見れば、片膝を立ててしゃがんだユキが立ち上がるところで。
立ち上がったユキは、こちらも見ないまま足早に教室を去って行った。