※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
不意に鼻の奥がつんとする。
ユキは、見返りなんてないのに無償の優しさをくれる人。
ユキからホットココアの入った紙コップを受け取ると、手のひらに広がった熱がゆっくりと体にしみこんでくる。
「あんたの分は……?」
よれよれの声でそう問えば、そこでやっと気づいたというようにユキが破顔する。
「あ。はのんちゃんのことしか頭になかった」
……そんなこと、言われた私はどんな顔すればいいのだ。
「あっそ」
下唇を軽く噛み、ふいと視線をぎこちなくそらす。
ユキがくれる少し熱いくらいの温もりが心地いいとそう感じたことに、私はまだ気づけなかった。