※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
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……お、あの人絶対イケメンだ。
通学中の電車の中、スマホをいじって暇を持て余していた私は、同じ高校の制服を着たイケメンを見つけた。
ドアの近くに立って片手でつり革に捕まり、もう一方の手でスマホを操作している彼は、後ろ姿しか見えないけれど、イケメンオーラをビシビシ出している。
近くに寄ったらとてもいい香りがしそうな雰囲気。
今日の話のネタにしたら絶対に盛り上がるだろう。
イケメンネタは鉄板なのだ。
朝の電車は程よく空いていて、数メートル離れた私が座るシートからも、人目に隠れながら彼をこっそり観察できる。
こっちを振り返らないかなーなんてそんなことを考えていたその時、イケメン(恐らく)の前に立っていた体格のいい坊主の男が突然振り返った。
「おいお前! 今俺の財布から金とって、自分の財布に入れただろ!」
突然怒鳴り声をあげて、イケメン(恐らく)に坊主の男が詰め寄る。
「え?」
唐突な出来事に、私はぎょっと驚いて首を竦めた。