※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
ユキがしゃがみこんだまま、膝の上でたたんだ腕に顎を埋める。
そして、ぶらんと降ろしていた私の左手の小指に、小指を絡めてきた。
繋がった小指を見つめながら、まるで指切りしていらみたいだと頭のどこかでそんなことを思う。
乱暴に私の髪を弄んでいた北風が、いつの間にか私たちを包むように穏やかになっていたことに今更気づく。
「初めて人のことを好きになったんだ。好きだって思った瞬間に好きだって言える距離にいられるからこそ、俺は一ミリも惜しむことなくはのんちゃんに好きだって伝えたい。こんなに愛されてるんだよって、少しでも君に届いてほしいから」
耳元で聞こえてきたのは、昇りたての朝陽よりも柔らかい声。
ユキの言うことは難しい。
だけどきっと、もし私が世界中の人を敵にしたとしても、ユキだけは変わらず隣で笑っているのだろうなと、そんなことをぼんやり思う。
「……あんたの目には、私はどう映ってるの?」
「大好き、かな」
「それ、答えになってない」