※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
弱虫プリンセスと、"幸福な王子"
“お遊び会”――という名の、2ヶ月に1回の催しがある。
それは、舞香のお父さんが経営するホテルのパーティールームを貸し切って行われる。
偶数月ということは、今月もまたお遊び会の日が近づいてきたということだ。
しかも今回は特別。舞香の誕生月なのだ。
「は~、今回も楽しみだなぁ。舞香ん家のホテルでパーティー。どんなドレスがいいかな」
「リカ、前回のドレス超似合ってたもんね」
「ちょっと、ハードルあげないでよ~」
教室の後ろのロッカー前を陣取り、きゃいきゃいみんなでお遊び会について話していると、そんな話を聞きつけ、大瀧たちカースト上位の男子たちも群がってきた。
「おー? お遊び会の話? 明後日だっけか」
「そう。偶数月の第1金曜。あんたたち、もう準備できてんの?」
「できてるできてる。プリンスホテルのディナー、超美味しいから楽しみだよ」
「なー、今回は大瀧歌うのほどほどにしろよな~。前回は大瀧ワンマンショーになっちまったんだから」
「今回も美声、響かせてやるぜ。舞香様へ贈るバースデーソングだ」
「あはは、前回のはまじでウケたわ~」