※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
こうしてお遊び会についてわざわざ教室で大声で話すのは、多分、半分はわざとなのだと思う。
このお遊び会に招待されるのは、クラスの3分の2ほどのカースト上位メンバーだけだ。
舞香から招待状を渡されることで、自分たちは特別で、カースト上位なのだと知る。
お遊び会なるものが開催されることはおろか、開催地も開催場所もクラス全員が分かっているのに、カースト下位とされるものは立ち入ることができない未知の領域。
詳しいことはグループメッセージで話し合われるけれど、そこにすら底辺の子たちは招待されない。
そういう疎外感や劣等感を与える、見せつけのような間接的ないじめだ。
私は今までその雰囲気をずっと優越感に浸って楽しんでいた。大声で話して笑って、選ばれし者だけが招かれるパーティーが楽しみで仕方なかった。
けれど、今回気が乗らないのは多分――ユキのせい。
ユキは言うまでもなく招かざる客だ。
だけどユキと出会ったことによって、教室全体が見えるようになってしまった。
自分がよければ。
自分さえ安全な場所にいられれば。
そう思ってそれで満足していたのに、疎外されていた中学の頃の記憶と、教室にいる下位のみんなとが重なるようになってしまった。