※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。
話が一段落したところで、私はシャンパングラスを持って壁際へ寄った。
すると間もなく歩み寄り声をかけてきた男子がいた。
それは、サッカー部エースの成宮。
成宮はクラスで一番の人気を誇るイケメン男子だ。
「よう、花宮。楽しんでる?」
「うん。まあね」
「なぁ、ちょっと抜けださね? ゆっくり花宮と話してみたかったんだ」
正直同じクラスになってすぐは私もかっこいいと思っていたけれど、舞香が狙っているということを知ってから、ふたりになることは避けていた。
「えっと、ごめん。ちょっと体調悪くて」
「まじ? そっか、声かけて悪かったな。休んどけよ」
こういう気遣いができるところも人気の所以なのだろう。
成宮が離れていき舞香の集団に合流するのを見届けると、ふうと息をついた。
気を遣いすぎて疲れてしまった。
招かれることばかりに神経を向けていて気づかなかったけれど、正直お遊び会が好きではなかったのだと思う。
この空間自体が落ち着かないからだ。
カースト上位たちが、大人ぶってキラキラした空間でわいわい楽しむ。
なにが楽しいのか分からないのに、ニコニコ笑って話を合わせているのはとてもしんどいのだ。