※彼の愛情表現は、少しだけ重すぎる。


そしてビンゴはお開きになり、今度はカラオケタイムが始まった。


パーティーが始まってからずっと、ちょくちょくシャンパンを口にしていたせいだろうか。

少しして、私はトイレに行きたくなった。


みんなカラオケに盛り上がっていて気づかれそうにもないけれど、音を立てないようこそっとパーティールームを抜け出す。


それからどこかの王宮のような豪華なトイレで事を済ませ、パーティールームに戻ろうと足早に駆け寄った時。


「あれ、そういえばはのんは?」

「さあ? だれか男子といい感じなんじゃない? 今あの子、フリーだし」

「てかさ、さっきのビンゴのはのん、どうなの? ぶっちぎりで一等って」


室内から自分の名前が聞こえてきて、私は壁に身を隠した。


多分それは本能だったと思う。

この先に立ち入ってはいけないと頭の中で警告音が鳴った。
< 83 / 185 >

この作品をシェア

pagetop