僕の庭
桜の蕾がほころび、僕の雑多な庭は、春色で美しく彩られた。
さぁっと心地よい風が吹くと、花びらが舞い上がり、僕のいる縁側まで降ってきた。

僕は完成間近の絵を前に、思い悩んでいた。
何か、この絵には足りない気がして。

桜桜の木は僕の思い描いていたように写しとれたように思えるが、何か足りない。
僕はびわを膝に乗せ、首をかしげた。


「さて。びわは何がいると思う?」


びわは僕の言葉なんて聞いていないようで、大きなあくびをした。


「こんにちわ」


涼やかな声がして、声のする方を見た。


「佳穂、さん」


「お邪魔します。絵は、どんな感じですか?」


門扉の前にいた佳穂は、するりと庭を横切り、縁側に上がり込んだ。
僕の横に立ち、キャンバスを覗き込む。

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