僕の庭
父と上の兄の無事を祈る毎日。


しかし、父もまた無言の帰宅となった。
父は、一握りの髪の毛しか残っていなかった。

家族みんなで暮らす日がくるさ、父の言葉が蘇る。


来ないじゃないか、
もう来ないじゃないか。
あなたはいないじゃないか、

父さん。



母と小さな小さな父の骸をかき抱き、僕はひっそり泣いた。



遺していかないでよ、と。
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