僕の庭
悪い夢、これは何が見せている悪夢なのだろうか。

出口の見つからない霧の中にいるような日々に、次に訪れたのは、僕への赤紙、出兵命令だった。

お前までも行ってしまうのかい、そう呟いた母の目は虚ろで、僕の向こうを見つめているようだった。


ああ、僕も行って、逝ってしまうのだろうか。


ほんの少しだけ、心の隅でほっとしている自分がいた。



僕は置いていけるのだ。

置いていかれはしないのだ。



死ぬ事でこの霧から逃れられるのであれば、それは幸せなのではないだろうか。






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