僕の庭
「君に出会って、僕の世界は変わった。再び息づいた。
感謝してもしきれないのに、僕はまだ君に甘えている。

ああ、僕は何が言いたいのか、君に伝えたいのか上手く口にできていない。

ただ、」


花保理は光を受けて煌めく川面を見つめながらも、耳はずっと僕に傾けてくれていた。
僕は無意識に拳を握っていたらしく、ふ、と見ると手のひらに爪痕が残っていた。
その手のひらに残った赤い三日月を見ながら、一旦切った言葉を続ける。

「ただ、これだけは分かる。
君が、この未熟で不完全な僕にはとても必要、なんだ。
僕は君と、家族になりたいんだ」


「家族?」


「ああ。僕が君の家族になりたいんだ……」


唯一の君の家族に。
そう言いかけて、はっと気付いて僕は慌てて花保理を見た。


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