僕の庭
「あ、その!
ぼ、僕は何を口走っているのかな。馬鹿なことを言った、すまない。忘れて欲しい」


「耕介さん?」


「ああ、上手く言えなくてごめん。困らせたね。
すまない、今日はもうここで帰るよ」


「耕介さん!?」


僕は顔が真っ赤になるのが分かり、堪らずに立ち上がった。
花保理が呼び止めようとする声を背に、駆け出す。


なんて事を!
なんて事を口走ったのだろう。

いくら何でもあんな事を言うなんて。


彼女を必要だなんて、家族になんて、僕は下手な求婚をしているんじゃないか。

なんて事を。



家に逃げ帰った僕は、万年床に隠れるように潜り込んだ。


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