僕の庭
花保理を必要。

この言葉は、僕にとって衝撃だった。

無意識に口にした言葉、それは自分すら気付かなかった真実なのだ。

彼女が、僕には必要なのだ。



しかし、こんな何の甲斐性もない、粗忽で面白みのない男など、彼女には似つかわしくない事など分かりきっている。

彼女はあの時驚いたような唖然とした顔をしていた。
呆れていたのだろうか。
ただの親切を履き違えて、求婚する男など不快でしかないであろう。


もうあの店には行けない、彼女にも会えない。会わす顔がない。


ああ、僕は馬鹿だ。
この気持ちに早く気付き、胸に押し隠してさえいれば、彼女のそばにもう少し長くいられたかもしれないのに。

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