僕の庭
僕らはそれからまもなく結婚した。

身よりのない僕たちの結婚式はささやかなもので、けれどご近所さんや定食屋の方たち、会社の仲間のお陰でよい式になった。


結婚した最初の日、頼りない僕のどこに良さを見つけてくれたのだろう、そう彼女に尋ねると、彼女は微笑みながら『頼りないところよ』と言った。

僕はその言葉に笑みを誘われ、二人で寄り添うようにして笑った。

そんな風に誰かと笑って時を過ごすのは本当に久しぶりで、僕はとめどなく溢れる笑い、幸せに身を委ねた。



僕たちはこれから幸せになろう。
君には僕が。
僕には君が。
二人で幸せになろう。


何度もそう言う僕を、彼女は飽きもせずに聞いてくれた。

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