僕の庭
誰もいなくなった病室で、僕はさっきの医者の言葉を反芻していた。


花保理が亡くなった?


それはあまりにも唐突すぎて、僕は信じることができずにいた。

家に帰れば、花保理は僕を待っているのではないか?
いや、定食屋で僕が迎えにくるのを待ちわびているかもしれない。
こんな所に長居をしている僕に怒っているだろう。

早く帰らなければ。

早く花保理に会いたい。




僕は早く帰らなければいけない。


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