僕の庭
次の日、僕は会社を辞めた。こんな足ではバイクも乗れない、と言うと、社長が高値で買い取ってくれた。
僕はそのお金を、全て画材道具に変えた。


スケッチブックに花保理を描く日々が始まった。

花保理はどんな風に笑った?
どんな風に喋った?
どんな風に怒り、どんな風に手をかざした?

しかし、どんなに思い返して描いても、僕の描く花保理は花保理ではなかった。

こんなのは花保理じゃない。

描いては破り捨て、また描いて。



僕はとり憑かれたようにスケッチブックと向き合った。




.
< 164 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop