僕の庭
「君はこうして僕の元へ現れてくれた。また、情けない僕を見つけてくれた。
それで十分だ。ありがとうと幾度言っても足りないよ」


僕は花保理に頭を下げた。


「あの時、僕に声をかけてくれてありがとう。僕は何度も君に救われた」




そんな事……、とまだ小さな声で言う花保理に、僕は明るい声で言った。


「しかし、僕があんまりしわくちゃのじいさんでびっくりしただろう? 声をかけるのを躊躇ったんじゃないかい?」


まあ、と花保理が目を見開いた。それから悪戯っぽく笑う。


「そうね、驚いたわ。耕介さんったら酷いわ。一人で年を重ねてるんですもの」


「おやおや、君も酷いと思うよ? 僕だけこんなに老いてしまった。」


「あら、そう?」


僕たちは声を重ねて笑った。


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