僕の庭
僕はそこそこ売れている画家だ。
一年に一度は、個展を開ける程度の。

それなりに僕のファンがいて、彼らが僕が一年生活できる程度のお金で絵を買ってくれる。
僕は毎日のんびりと、絵を描いてさえいればいい。

事故の時、右手を傷つけずにすんだのは、幸いだったと思う。
右手が無ければ、今ごろ僕は死んでいたかもしれない。


僕と生活を共にしてくれているのは、一匹の老いた猫。
名前はびわと言う。
果物の枇杷をあまりに好んで食べるので、そう名付けた。
そんな彼のために、枇杷の時期になると、僕はマネージャー役の真崎さんに頼んで枇杷を買ってきてもらう。
びわは僕の分まで枇杷を欲しがり、
僕はあまり好きじゃない事もあって、皮を剥く係に徹することとなる。

びわと僕は、結構仲がいいと思う。

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