僕の庭
「なぁに? こんな天気なのに、何だか楽しそうね」

声がして外を見ると、薄いブルーの傘をさした佳穂が立っていた。
昨日と同じ、白のワンピースを着ている。


「君は、雨降りは嫌いかい?」


「あまり好きじゃないわね。ベタベタするし、服は汚れるし」


佳穂は傘を閉じて、室内へ入って来た。


「雨が好きなの?」


「ああ、僕は好きだな。汚れた空気が綺麗になっていく気がするだろう? その空気が、うまい」


「空気が?」


佳穂は深呼吸をして、首を傾げた。


「枇杷の匂いがしただけのようだけど」


僕は声をあげて笑った。
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