僕の庭
「……ん、んん。あら?」


絵の具のチューブを置いた、コトリという音と共に、彼女の目覚める声がした。


「すまない、起こしてしまったか」


「ううん、ただ目が覚めたの。あたし、寝てしまっていたのね」



むくりと体を起こした佳穂は、んん、と小さく伸びをしてから、


「あ、ありがとう」


と体に掛けられたタオルケットを見て言った。


「手頃なものがなかったから、すまないな」


「ううん、そんな事ないわ。あたし、長く寝てたのかしら?」


「いや。2時間くらいだよ」


「そんなにも?」


佳穂は驚いたように目を見開いた。


「ちょっとうたた寝した程度だと思ってた、ごめんなさい」


「構わないよ」


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