僕の庭
貴方の家の庭の桜の木。

その幹の影に、あたしの膝こぞうより少しばかり背の高い、
もみじの木がある。

小さな赤子の手のひらのような、赤い葉。

その上を優雅に舞う赤とんぼを、貴方はくれた。
悲しそうな目をした貴方は、それでもあたしを喜ばせようとして、そっと差し出してくれた。


彼は貴方を愛していたのよ。


忘れないで。


彼は貴方を愛していたの。


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