僕の庭
夏が過ぎようとしていた頃、びわが死んだ。
彼との付き合いは18年に及ぶ。
僕の、たった一人の家族だった。
今年の夏は、異常な暑さだった。
びわの老体には酷だったのだろうか。朝起きると、僕の枕元で冷たくなっていた。
その日の朝、たまたまやって来た真崎さんが、びわを埋めてくれた。
今は庭の片端で、びわは眠っている。
真崎さんは、びわに土を掛けながら泣いてくれた。
ようやく、この間ようやく私の手から枇杷を食べてくれたんですよ、と。
びわは人見知りをする猫だったね、
と真っ白いタオルにくるまれたびわの姿がどんどん埋もれてゆくのを、
僕はじっと見つめた。
それから僕は、びわを埋めた上に枇杷の種を埋めた。
真崎さんはそれを見て、涙が浮かんだ顔をしかめた。
枇杷は庭に植えてはいけないのだそうだ。
枇杷が育ち、実がなる頃に、その家に不幸が訪れるのだと。
構わない、と僕は言った。
僕にはもう失える家族はいないのだから。
彼との付き合いは18年に及ぶ。
僕の、たった一人の家族だった。
今年の夏は、異常な暑さだった。
びわの老体には酷だったのだろうか。朝起きると、僕の枕元で冷たくなっていた。
その日の朝、たまたまやって来た真崎さんが、びわを埋めてくれた。
今は庭の片端で、びわは眠っている。
真崎さんは、びわに土を掛けながら泣いてくれた。
ようやく、この間ようやく私の手から枇杷を食べてくれたんですよ、と。
びわは人見知りをする猫だったね、
と真っ白いタオルにくるまれたびわの姿がどんどん埋もれてゆくのを、
僕はじっと見つめた。
それから僕は、びわを埋めた上に枇杷の種を埋めた。
真崎さんはそれを見て、涙が浮かんだ顔をしかめた。
枇杷は庭に植えてはいけないのだそうだ。
枇杷が育ち、実がなる頃に、その家に不幸が訪れるのだと。
構わない、と僕は言った。
僕にはもう失える家族はいないのだから。