僕の庭
その日から、僕の空虚な生活が始まった。
もう膝に乗ることのない重み。

びわがいなくなった夜、僕は膝に手を押し当て、そっと泣いた。

びわ。

君が好きだった枇杷を植えたよ。
向こうでも存分に食べるといい。
僕は皮を剥いてあげられないけれど、それは我慢しておくれ。

びわ……。




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