僕の庭
佳穂に、もみじの木を見下ろすように立ってもらった。


「うん、いい感じだ。もう少し、視線を下に落としてくれないか?」


「こうかしら?」


腰に手を回して、膝を少し曲げて木を眺める佳穂の背中、まとめられた髪がさらりと揺れた。


「……うん、いいな」


僕は頷いた。
佳穂はやはり、僕の絵にかちりとはまる。


「そのままでいてくれ」


僕は鉛筆の動きが軽やかになるのが分かった。


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