僕の庭
鉛筆の芯がぽきりと折れ、僕の集中が途切れたのを潮に、僕たちは一休みすることにした。


「疲れたんじゃない? あたし、お茶をいれてあげるわね」


「ああ、すまない」


佳穂は縁側で靴を脱ぎ、ぱたぱたと奥へ消えていった。そしてしばらくして、温かいお茶が二客載ったお盆を持って現れた。

縁側に二人で並んでお茶を啜る。


「うん、旨い」


「そう? いつも飲んでるお茶の葉でしょ」


「そうなんだが。淹れ方なのかな」



「あら。ごく普通の淹れ方しかしてないわよ」


僕と佳穂はのんびりと時間を過ごした。
いわし雲がゆっくりと空を流れていく。

そよそよとそよぐ風はもう、冷たくなりかけていた。

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