僕の庭
それから佳穂と静かな日々を送り、僕の絵は完成した。
佳穂は絵を長い時間眺め、何度も頷いていた。

「うん、すごく素敵。あたし、随分かわいらしく描かれてるのね」


「そうかな?」


「そうよ」


佳穂は嬉しそうにほほ笑んだ。


「ねえ、題名は決まっているの?」


「ああ。秋火。秋の火で秋火」


僕の感じた、秋の中の小さな命の火を描いたつもりだ。


「いい題名だわ。
さあ、絵の完成も見れた事だし、あたしはそろそろ帰るわね」


佳穂はそう言うと、縁側に揃えられた靴に足を下ろした。


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