僕の庭
ついつい話し込んでしまいました、と真崎さんが帰り、僕は彼を玄関まで見送ったついでに、庭へとまわった。

すっかり色を失ってしまった庭は、もの寂しさばかり感じてしまう。
あんなに太陽を求めていた朝顔も、庭の隅でかさかさに枯れ落ちてしまっていた。

こんな事なら、寒椿でも植えておけばよかったと思うが、仕方ない。
今まで庭を顧みたことなどなかったのだから。

僕は庭の真ん中に立ち尽くした。

春・夏・秋、僕はこの庭に、確かに心を寄せた。
感じたものを、思うままにキャンバスに写し取れた。


冬の今、この寂しい庭に、僕は何かを見出だせるのだろうか……。





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