僕の庭
しゅんしゅんと、やかんの蒸気の音がする。
僕はパレットに絵の具を乗せ、筆に少し色を移した。
淡い桃色をキャンバスに塗っていく。



雪が降り積もってもう数日が経った。
僕は連日キャンバスと向かい合っていた。
根を詰めているつもりはないが、手がすいすいと動いてゆくのに、軽い高揚感が
ある。
絵を描きだして長い時が経つが、こんなに思うままに筆がのるのは初めてかもしれない。



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