僕の庭
静かな部屋。
時はゆっくりと流れていたのか、それともまばたきする程早かったのか。


庭木が闇に包まれようとした頃、僕はパレットを置いた。
少し体を引き、キャンバス全体を眺める。



うん。ようやく、描けた。



「いい出来になったみたいね?」


僕の様子で完成を知ったのか、佳穂が聞いた。


「ああ。自分で言うのもおかしいかもしれないが、満足できるものになったと思う」


「そう。ねえ、それであたしも見せてもらえるのかしら?」
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