僕の庭
「ああ、勿論。君に見てもらいたい」


がたりと椅子を引いて、キャンバスの前を空けた。


「わあ、何だかわくわくしちゃうわね!」


嬉しそうに言った佳穂が、キャンバスの前に立った。


「どれど、れ……」


佳穂の後ろの位置にいる僕には、彼女の様子が分からなかった。
絵を見た佳穂は、どんな表情をしているだろうか。
立ち尽くした背中からは、何の感情も読み取れなかった。


「……どう、だろうか。感想を、聞きたい」


おずおずと聞いた僕の声は、彼女の耳に届いているのだろうか。
微動だにしない彼女に幾ばくかの不安を感じだした頃、小さな声がした。


「……んで?」


「え? なんだい?」


「……何で、こんな絵を……?」


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