僕の庭
「けれど。
こんな、手入れもなにもしていないような寂しい庭にも、
咲く花があるじゃないか、と思い出したんだよ。

いつも笑顔でいた、君が。

お陰で、僕は最高の絵を描けたと思う。
君を描こうと思ったからこそ、冬の庭にも愛おしさを感じたよ。


どうだろう? この絵はいい出来かい?」


彼女は振り返らない。
少し震えている肩は、泣いているのか。

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