パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜

金曜日。今日もバタバタしながら過ぎていく。

はぁ、疲れた。

｢よし、頑張るぞ｣

休憩中、私は自分に気合いを入れて仕事に向かった。

レイトショー。私は、受付の場所に立ち、お客様のチケットを切り、半券を渡し始めた。


｢いらっしゃいませ｣

元谷さんが、現れた。

私は、やっぱりカッコイイなぁって思ってしまう。優しく微笑む姿が、カッコ可愛くて、自然とこっちも微笑んでしまう。

ステキすぎる。

平常心。平常心。

心を落ち着かせようとしても、私の心は、おさまる気配がまったくない。

｢小橋さん......｣

｢こっ、こんばんは｣

私は元谷さんからチケットを貰い、半券を渡した。

｢どうぞ｣

私は、笑顔で元谷さんを見上げた。あれ？今日はちょっと元気ないかも？

｢元谷さん、お疲れですか？｣

｢えっ？あっ、まぁ。分かっちゃったかな｣

元谷さんは、一瞬驚いた顔を見せたが、照れながら、頭をワシャワシャとかいた。かっ、可愛い。またも、ドキッとしてしまった。

｢あっ、そろそろ時間ですよ｣

｢そうだね。行ってくる｣

｢いらっしゃいませ｣

私は笑顔で元谷さんを送り出した。

元谷さんに愛される人は幸せだろうなぁ......
私はまたしても胸の奥がチクリと痛むこと気づかないように仕事に取り組んだ。

その後は、慌ただしく作業をこなした。

あっという間に今日も、忙しい仕事が終わった。

従業員出入口で

｢お疲れさまでした｣

みんなに挨拶をして、私は自分の家に向て歩き始めた。

家までは、歩いて15分くらいだ。

深夜なのに、この辺はお店の灯りで賑わっている。だから、1人で歩いていても危なくない。その前に私みたいな女に声をかける人はいない。でも、最近は早歩きをして帰ったり、ストレッチも欠かさずやっている。食欲もあまりなかったため、コンビニに寄ることもなくなった。少しずつであるが痩せてきているのだ。痩せてくると、同じ動作をしても楽に動ける。私は、どちらかというと、動くデブなので、休日も、1人で何処かに出掛けるのが好きなのだ。明日も晴れていたら近くの公園でも散歩しようかなぁ。



｢お疲れさま｣

そっ、そこには、先ほど会った元谷さんがいた。

｢も、元谷さん。誰かと待ち合わせですか？｣

私は元谷さんに近づいた。

｢あぁ、小橋さんを待っていた｣

｢えっ？わっ、私？｣

私は自分に指を差して驚いた顔で元谷さんを見上げた。きっとその顔は間抜けだっただろう。

｢ははっ｣

元谷さんが笑った。

吸い込まれるような笑顔。こっちまで優しい気持ちになってしまう。

｢やっぱり好きだ｣

私は元谷さんに見惚れてしまう。

｢えっ？｣

今度は驚いた顔。

｢可愛い〜｣

また胸がキュンってなってしまった。

｢小橋さん……｣

｢あっ、はい｣

私は慌てて返事をした。

｢今、なんて言ったの？｣

｢わっ、私......なんか言いました？｣

｢うん......｣

照れくさそうにする元谷さんを見て察した。

私、声出てたのーーー!!

ど、どうしよう。なんてことを......。だ、誰か助けてーーー!!

｢すっ、すいません。失礼なこと言って。今の忘れてください｣

私は真っ赤になって頭を下げた。