パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
雷斗side


美結雨の気持ちがわかって、素直に嬉しかった。

映画館で初めて会った時から可愛いなって思っていた。笑った顔が印象的でお客さんに気遣いができる女性だ。金曜日に彼女に会えるのが楽しみになっていた。受付にいる彼女の姿を見ると、また来週も仕事を頑張れる。そんな気持ちにさせてくれた。

でも彼女にはイケメンの彼氏がいた。

以前、雰囲気のいいCafeに行ったことがあった。そこで見かけたのが美結雨だった。楽しそうにイケメンの店員と話をしていた。その光景を見たとき、負けたと思った。でもその光景を見て、俺は美結雨が好きなんだとわかった。断られることは覚悟していた。それでも伝えずにはいられなかった。

美結雨の仕事が終わるのを待って告白をしよう。そう思った。

なのに、美結雨から好きという言葉が......
それだけで幸せだった。
でもイケメンの店員さんのことは聞けず、モヤモヤする日々。

「アイツは誰なんだよっ」

その言葉が言えない。

だから、美結雨を抱きしめることしか出来なかった。でも美結雨は、恋愛をしたことがないって素直に打ち明けてくれていたのに、俺が勝手に思い込んでいただけだった。美結雨は、どんどん綺麗になっていく。それが俺のためだったなんて思いもしなかった。
料理も美味いし、笑った顔が可愛くて。俺ばっかりがどんどん好きになっていった。抱きしめながら眠ると癒されて、次の日の仕事が進む。今まで以上に契約が取れるようになり、ますます忙しくなった。美結雨が好きだからこそ大事にしたい。
俺、ここまで好きな人のことばかり考えた恋愛したことあったか?
確かに学生時代からよく女の子に声をかけられていたし、実際付き合ったこともあった。
でも、いつもデートの後疲れている自分がいて、あぁ~めんどくさいって思って、距離を取るようになってしまうパターンが多かった。

「美結雨に会いたい......」

はぁ、こんな俺。情けねぇな。

でも、本当によかった。
あのイケメンの店員がお兄さんで。
ホッとした。

美結雨は、本当に綺麗だし、可愛い人だ。これからも俺は嫉妬ばかりするんだろうなぁ。それに優しい人だから、自分の幸せより人の幸せを優先する。

俺は美結雨じゃないと幸せになんかなれないのに。

取引先の社長の娘さんと、1度だけ食事した時、おすすめのBARがあると言われた。出張から帰って来たばかりなのに、何でそんな人と会わなければならないのか......早く美結雨に会いたいのに。

連れてこられたのは、イケメンの店員さんがいる店だった。夜はBARになっているのは知らなかった。この間来た時は昼間だったから。夜も混んでいるが落ち着いた雰囲気の店だ。

美結雨には、取引先の人と会うと言った。俺にとっては娘さんとは言え、接待のようなものだ。可愛らしい人ではあったが、俺の気持ちは早く美結雨に会いたかっただけだった。まさか美結雨が来ていたとは知らなかった。

だが、美結雨と呼ぶ声が聞こえた。

やっぱりあのイケメンさんと何かあるのか?俺は早く美結雨のところに行かないと。あのイケメンさんに美結雨を取られてしまうかも?そう思ったら呑気に食事などしていられない。娘さんには急用が出来てしまったと言い、店を出た。タクシーに乗せて、また会いたいと言われたが、好きな女性がいると言い断った。

「美結雨、どこにいる?」

俺はまだ、そんなに遠くに行っていないであろう美結雨を追いかけた。

美結雨を見かけたとたん、抱きしめた。やっぱり美結雨じゃないとダメだ。俺は初めて美結雨を俺のマンションに連れてきた。

ここに、女性を連れてきたのは美結雨だけだ。美結雨ならいい。そう思った。なのに美結雨は俺と別れようと言う。俺が年下だからか?頼りないから?やっぱりあのイケメンさんと?こんなに自分が焦って、嫉妬して頭の中グルグルさせて余裕のないのは初めてで戸惑う。

美結雨は、あの娘さんが俺の本命だと思ったらしい。俺って二股をかけるような遊び人に思われてたのか?俺はお兄さんに、美結雨はあの娘さんにお互い勘違いしていただけだった。美結雨の気持ちを知った俺は、美結雨の全部が欲しかった。何もかも俺のものにしたかった。


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