パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
マンションから外に出ると、向こうから菜々恵が歩いて来るのがわかった。

「雷斗っ、会いたかった」

そのまま抱きつかれ、

「菜々恵っ」

その勢いで倒れかけ咄嗟に抱きしめ返した体勢になってしまった。

「離れてくれっ」

「少しだけ、いいでしょ?私、今でもあなたのことが好き」

菜々恵は俺から離れようとしない。俺はイラッとした。

「離れろっ」

今までにない低い声だった。

「らっ、雷斗?」

「このことを社長は知っているのか?それに重要な書類は?」

「えっ?あっ、これ」

菜々恵は慌てて、書類を渡した。

「確かに、お預かりした。ただ今後このようなことをするなら、俺にも考えがある」

「なっ、なに?」

「杉本さんの会社とは、取引をしない」

「そ、そんな......雷斗は私のことが嫌い?」

「俺は、杉本さんのことを今まで恋愛感情で接した覚えはない。そしてこれからも杉本さんを好きになることはない」

「......」

今にも泣きそうだったが、そこはプライドが許さないのだろう。

「もう帰ってくれ。それに俺には結婚を考えている人がいる。だから俺の周りで付きまとうことがあったら、許さないから」

「わかったわ」

菜々恵は来た道を帰って行った。



今日は散々だった。
マンションに入り、ソファーに座った。

本当に疲れた。
早く美結雨の顔が見たい。
スマホを見ると、仕事の終了時間を過ぎている。今日は接待で遅くなると言ったから気を利かせて連絡をくれないのか?

嫌な予感がした。


美結雨に連絡する。

プルルルルッ。

......。

......。

呼び出しても繋がらない。

メッセージを送っても既読にならない。


何かあったのか?

美結雨。
もしかして......
アイツといたところを目撃したのか?

俺は慌てて美結雨のマンションへ向かった。






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