パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
接客が落ち着いてきた花鈴音さんが、私のところにやって来た。

「美結雨ちゃん、ちょっと見ないうちに綺麗になったんじゃない?」

「えっ?私が?ナイナイナイ。全然、綺麗じゃないですよ〜」

突然、何を言いますか?

私は、間抜けな顔をして、その後は、ブルドッグのような頬のお肉をブルブルさせながら、首を横に振った。

「きゃははっ、美結雨ちゃん可愛い〜」

花鈴音さんは、綺麗な顔をして思い切り笑う自分は綺麗だって、鼻にかけることない。だから、私も花鈴音さんが大好きだ。

外見を気にしてるのは、私だけ……。でも、それは……元谷さんを好きになってしまったからで、それまでの私は、楽天主義だから、気にも止めていなかった。

実際、私の兄も外見を気にする事はなく、こんな私を可愛いって、平気で言う。だから、私は1人でも生きてこれたのだと思う。

こんな縦も横も大きい私でも人は人。自分は自分。って考えられるのは、兄のおかげなのかもしれない。兄は、本当にモテるから、いつもいろんな女性から告白されていた。

でも、本当に冷たい。イケメンだけに辛い思いをしてきたんだと思う。両親が忙しかったから兄がいつもご飯を作ってくれた。「美味しい」って私が食べるだけで癒されるっていつも言っていた。それは、大人になった今でも変わらない。

だから、兄が結婚するって聞いた時は本当に嬉しかった。もともと付き合っている時から花鈴音さんのことは知っていて、可愛がってもらっていた。こんなに綺麗で、嫌味もなく素直に私を可愛いって言ってくれる人はいない。

2人とも、似た者同士なのだ。だから私は2人が大好きだ。

「羨ましいなぁ」

私が、2人を見て言ったものだから驚いていた。

「美結雨?おまえ……」

「美結雨ちゃん、もしかして?」

「花鈴音。もしかしてって何だよ」

「巧海、分かんないの?」

「......分かんねぇよ」

「本当、巧海は美結雨ちゃんのことになると、全然ダメなんだから〜」

「はぁ?そんなことねぇよ」

「ほらっ、言葉使いも悪くなってるよ」

この2人は、いつもこんな感じだ。でも、こうやって言い合える関係って素敵だと思う。

「巧海は、もうキッチンに戻って」

「うるせぇ……」

兄は怒りながら、キッチンへ向かった。

「花鈴音さん、お兄ちゃん平気?」

「大丈夫だよ。いつもの事だから。よっぽど美結雨ちゃんが可愛いのよ。私も可愛いって思うもん。美結雨ちゃんのこと」

「花鈴音さん、ありがとう。お兄ちゃんにも、伝えておいてね」

「うん。伝えておく」

「ところで、美結雨ちゃん……」

ニコニコしてる花鈴音さん。

「なっ、何ですか?」

ちょっと、なんか焦ってしまう……

「美結雨ちゃん、好きな人いるでしょ?」

えっ、えっ?えーーーっ。

何でわかってしまったのだろう?

「当たりね。ふふっ」

「……何でわかったんですか?」

「そりゃあ、分かるわよ」

「……」

私……顔が真っ赤だ。恥ずかしくて、俯いてしまった。


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